森や竹林を活かした取り組みを知ろう!|おやまグリーンアクションプロジェクト 森づくり準備編

2025年11月から2026年2月までの秋冬にかけて開催される「準備と実践で学ぶ!森づくり編」。
その1回目となる「準備編〜森や竹林を活かした取り組みを知ろう!」が、2025年11月29日に小山市役所で開催されました。

実践に向けての準備として、小山市の実践者2名による発表、Q&A、グループトークが行われました。参加者どうしの交流も大いに盛り上がりました。
当記事では当日の様子をお伝えします。

竹林を整備して、無限の可能性がある竹を活かす

1人目の実践者は、ラハイナ・コーポレーションの速水 英幸さんです。

ラハイナ・コーポレーション 速水英幸さん

元々はハワイの雑貨を扱う会社だったが、東日本大震災のボランティア活動をきっかけに、地主の管理が行き届かずに放置される竹林問題に衝撃を受け、竹林整備と竹を活用したものづくりをスタート。土地改良材としての竹チップやパウダー、竹炭の製造販売の他、小山市産の孟宗竹や真竹の幼竹を原料にしたメンマ製造などに取り組んでいる。

手入れされずに放置される竹林は全国的に問題となっていますが、そうした竹林も人の手で整備すれば見違えるほどキレイになると速水さんは語ります。
整備の際に切り出した竹は竹チップに加工し、土壌改良材として有効活用しています。厄介者と思われていた竹が土を良くして、地域の「お助けもの」に生まれ変わるのです。

さらに、速水さんの取り組みはそれだけではありません。
孟宗竹の幼竹を原料とするメンマ、竹炭を活用した温浴パッド、竹を加工した「竹茶」など、幅広い商品を開発・製造しています。こうした商品は、他の地域で放置竹林問題に取り組んでいる方々のアイデアを調べて、そこへ教わりに行き、学んだことを元に独自開発しているのだそうです。

参加者も竹を使った商品に興味のある方が多かったようで、作り方や買える場所など、多くの質問が寄せられていました。
小山市内では「小山市まちの駅 思季彩館」や、イオンモール小山の「どまんなかマルシェ」で購入できるとのことです。

グリーンアクションプロジェクトでは、速水さんと一緒に活動する実践編のプログラムを予定しています。ぜひ、現場で体を動かしてみませんか。
実践編〜竹林を整備しよう!(1)2026年1月17日
実践編〜竹林を整備しよう!(2)2026年2月7日

ニホンミツバチを守り育て、森と畑の循環をつくり、森を楽しむ

2人目の実践者は、キラ星農園の篠崎 尊久さんです。

キラ星農園 園長 篠崎尊久さん

小山市内で様々な種類の野菜を栽培しているキラ星農園の園主。安全安心な野菜を育てるため、農薬を使わず自分の目が届く範囲で丁寧に育てており、市内だけではなく東京圏の飲食店でも愛用されている。農業を通して自然と向き合う中で、「人や動物、植物が共存共栄共生できるような場を作りたい!」と2020年から憩いの森の管理をスタートし、仲間たちと一緒に森づくりに取り組んでいる。

篠崎さんが森に関わることになったきっかけは「ニホンミツバチを飼いたい」という思い。
巣箱を置ける場所を探していたときに「憩いの森 鉢形」を紹介してもらったそうです。その時点では5〜6年手入れされていない状態でしたが、篠崎さんはすぐに「管理したい」と名乗り出て、管理人となりました。

森を守る取り組みの一環で、行政と連携して「自然共生サイト」への登録も行いました。自然共生サイトとは、環境省が認定した「生物多様性の保全が図られている区域」のことです。

「憩いの森 鉢形」では、集めた落ち葉を堆肥にしたり、森の一部にある竹林を整備して竹チップを作ったりしています。こうした堆肥や竹チップを畑で使うことで、森と畑をつなぐ大きな循環ができあがるのです。
その他にも、たけのこ掘りや栗拾い、草木染めなどの体験イベントを開催。これまでに200人以上が参加したそうです。
最初の目的だったニホンミツバチの飼育も順調です。「ハチに刺されないのかな?」と心配する方もいると思いますが、「ハチは無闇に相手を刺さないので、怖がらなくていい。大切なのはハチをよく知ること」と篠崎さんは教えてくれました。

「憩いの森 鉢形」の活動には中学生や高校生、大学生も参加しているので、誰でも歓迎とのことです。
グリーンアクションプロジェクトでは、篠崎さんや仲間の方々と一緒に活動する実践編のプログラムを予定しています。
実践編〜自然と触れ合える森をつくろう!2025年12月13日

市民が森づくりに参加する価値と、5〜10年後の森づくりビジョン

発表の後は、実践者のお二人に対するQ&Aのコーナーでした。一部を抜粋してご紹介します。

質問:市民がこういった森づくりに関わることには、どういった価値がありますか?

速水さん
竹林への関わりを、まず一歩踏み出してもらえるだけでも価値があると思います。竹に実際触れてみて、切ってみたり、運んでみたり、工作してみたり。そういった関わりを持つ人がもっと増えていくと、すごく良いと思っています。

篠崎さん
興味を持ったら、森に足を運んでもらうだけでもいいです。一人ひとりの行動や意識が変化すると、それがじわりじわりと広がっていきます。小山市は、田園環境と都市環境の調和のとれた「田園環境都市」を体現している街だと思うので、ぜひそれを感じてほしいですね。

質問:これからの5〜10年で、今の活動をどのように発展させていきたいですか?

速水さん
今手入れしている森は、約1haあります。そこを「人が集える森」にしたいと思っています。良い竹林とは、傘を差してもぶつからずに歩き回れるような場所なのだそうです。それくらいキレイにして、そこにみんなが集まってこられるようにしたい。そして、伐採した竹は活用していく。そういう循環型の竹林を作っていきたいです。

篠崎さん
「楽しい」があると、人は集まってきます。鉢形という地区の自然や農、食の豊かさや楽しさを発信していきたいです。「小山に行くなら鉢形に行こう」と言ってもらえるような地区にしていけたらいいですね。

「森」や「竹林」に対する思いを、いきいきと共有

最後は、4人ほどのグループに分かれて参加者どうしで話し合うグループトークの時間です。テーマは「森や竹林はどんな存在ですか?」、「自分にできる小山の森づくりは?」など。

市外や県外からの参加者も、小山の森だけでなくそれぞれの地域での活動に思いを馳せながら真剣に語り合っていました。話し合う中で新しい活動のアイデアも生まれるなど、今後の広がりがますます楽しみになる時間でした。

参加された方に、感想をお聞きしました。

「とても勉強になりました。意識の高い人たちが集まっているので、それぞれの活動の話も興味深かったです。交流の時間がもっと欲しかったなと思いました」

「楽しかったです。竹林の問題はあちこちにあるので、竹の話が聞きたくて市外から参加しました。参加して元気になれたので、これから何かしらの活動に関わっていきたいです」

すでに「次にやりたい活動」を意識して、やる気にあふれている参加者が多かったのが印象的でした。
今後は12月から2026年2月にかけて、現場で体を動かす「実践編」が開催されます。「準備編」に参加された方も、参加されなかった方も、ぜひ森づくりの現場にお越しください!

会場には、参加者のお一人が持ってきてくださった「竹あかり」が展示されました